
新型コロナウィルス蔓延の影響もあってか、最近アルベール・カミュの「ペスト」が売れているそうです。
カミュの代表作といえば「異邦人」が有名ですが、私は「ペスト」が好きです。
カミュは、この「ペスト」を単なる疫病としてだけでなく、人間を虐げ、蝕み、滅ぼしていく「不正や悪」の象徴として綴りました。この本では、ペストに見舞われた都市で、犠牲者が広がっていく様相と、その惨事に立ち向かって勇敢に戦う人々の姿が描かれています。
私の好きな場面はペストと戦う人々を見て、愛する人に再会しようと都市から脱出しようとしていた新聞記者のランベールが考えを改め手伝いを申し出、ようやく得た脱出のチャンスもなげうって行動を続けたところです。
「自分一人が幸福になるということは、恥ずべきことかも知れないんです」ランベールがこの苦境と戦う中で変心していくさまが強く印象に残っています。
11日(土)15:00からEテレの100分de名著の再放送で「ペスト」が放送されます。外出自粛が呼びかけられていますし、お家で見たいと思います。