なぜ走るのか
その答えは難しい
「そこに道があるからだ」
誰かが言ったような陳腐な言葉しか思い浮かばない
~Sunday Sunset Running~
日曜日の夕方
僕はこの時間に走るのが一番好きだ
一週間の終わりを締めくくるにふさわしいから
僕の相棒は、ナイキのレボリューション
なんでナイキかって?
ただ、カッコいいからさ
相棒の紐をきゅっと締めて、僕は外に出た
太陽の最後の残り火のような西日がまぶしい
まもなく日が沈んで、一日の終わりを告げようとしている
実は僕には、もうひとりの相棒がいる
ポケットの中で静かに点滅する光
SuperWalk、STEPNGO、HEAL3……
彼らは、僕に走る気力をくれる
アプリを起動し、僕は軽くステップを刻みだす
ちょっと汗ばむくらいの気温が、逆に心地よい
熱気をまとった風は、太陽が沈むとともに、心地よい冷気へと変わるはずだ
一番心地よいスピードで、足音のリズムを刻む
相棒のレボリューションは、今日も調子がいいようだ
僕の刻むリズムに、柔らかな反発で応えてくれる
僕の刻むリズムはとても正確だ
距離のメーターが3キロを告げたころ
時間のメモリは20分を告げる
ここで、相棒のひとり——STEPNGOとはお別れだ
サンキュー、STEPNGO
君がいなければ、僕は今日、走り出せなかったかもしれない
ここからは、SuperWalkとHEAL3が僕を支えてくれる
距離のメーターが7キロを告げたころ
足が、リズムより半歩だけ遅れ始めた
僕は、静かにポケットへ手を伸ばす
スマホからミュージックプレイヤーを器用に立ち上げる
今日の音楽は「Sundayよりの使者」
日曜の夕方には、これが一番よく似合う
(このまま どこか遠く 連れてって くれないか 君は 君こそは・・・)
少しせつなくて、どこか余情のこもったサウンドが僕の心に響く
僕はもう一度リズムを変えて、テンポを刻む
太陽が沈み、あたりを闇が包むころ
距離のメーターは15キロを告げた
「このくらいかな?」
Sunday Sunset Runningは、ここで終わる
やっぱり僕はこの時間が、一週間の中で一番、好きだ
なぜ走るのか
その問に、今ならハッキリと答えることができるだろう
「そこにアプリがあるからだ」
(一部の写真に画像生成AI「DALL·E」を使ってます)